こんばんは。
昨日に引き続き混乱しながら銀雨プレイしていた三津峰です。
やっぱり新たにサーバ構築!とか言う大掛かりな話では
無かったようです。
よく考えれば直前まで何の予告も無かった訳ですから、
当たり前と言えば当たり前でしたね…。(汗)
人間、焦ると碌な考えが回らないようです。
良い教訓になりました。(←)
それで、仕事の納期もちゃちゃっと終わらせたので、数日前から
何と無く黒セナ様を書いてみた訳ですが。
例によって表に出す場所が無いので矢張りブログで晒してみたり。
段々羞恥プレイにも慣れてきました。(笑)
黒セナ様なので、当たり前のように最終回したらしいアイシの
主人公様ですよ。原作とは似ても似つかない異種ですが。
それでも良ければ、覗いてやってみて下さい。
《数日遅れの高校デビュー》 …ちょっと無駄に長めのお話ですよ。
「ねぇ? 身の程知らず、って言葉…知ってる? ああ、もう聞こえちゃいないかな…」
足元に崩折れ、惨めにも地面へと這い蹲って気絶している不良達を踏み付けて無感動に冷えた凍て付く視線を瀬那は向ける。
感情の一切が欠落した大きな飴色の、ガラス玉のように美しく、それでいて恐ろしい冷徹な眼差し。
けれど、血の海に沈む彼等は皆一様に意識を飛ばしている為、それを目にする事は終ぞ無かった。
本当は此処まで傷め付けるつもりは無かったものの、絡んで来たのはこいつ等の方だっけ、と小さく嘯く。
折角“人畜無害”を装ってパシリ人生を送っていたと言うのに、これでは全て台無しである。
しかも、そこそこ返り血を浴びた気がする為、早々家にも帰れやしない。
唯一の救い、と言えば、瀬那に絡んだ愚かな者達が皆一様に《賊学》と呼ばれる他校生であった、と言う事だけだろう。
不良で溢れ返るあの学校ならば、この程度の喧嘩など恐らくは日常茶飯事。
此処まで一方的に痛め付けられる事があるのかは分からないが、そう問題にもならない筈だ。
まだ全てがバレた訳じゃない。
なら、明日からはまた素知らぬ顔でパシられる日常へと戻れば良い。
当面の問題はこの鉄錆び臭い返り血に塗れた私服を如何するか、だけだろう。
「…電話したら来てくれるかな、あの人達…」
ちらり、と脳裏を過ぎったのは白い長ラン姿の男と蛇のようなドレッド頭の黒い男。
どちらも少し前から妙な交流を持つに至った瀬那の夜のオトモダチ。
基本、スタンドプレイ推奨でフラフラと好き勝手に出歩いているので、時折群れても、特に縛られる事無く緩いお付き合いの人達だった。
然したる気兼ねも無く付き合える楽な人種の人間である為、瀬那も適当に連れ立つ事が間々ある者達。
そう言えば、伸した男達を牛耳っている頭はその白い長ランの彼だったかも知れない。
不味いかな?と暫し考えるものの、然し、この程度の事で彼は怒りはするまい、と否定を返す。
因縁を付けて来たのは明らかに地へ沈む彼等であったし、普段瀬那が“人畜無害のパシり屋”をしている事も知っている。
理由を話せば、呆れながらも着替えくらいは貸してくれそうだ。
序でに返り討ちした者達の回収もしておいてくれるだろう。
彼はその辺りの事情には意外と細かく、卒が無いから。
そうと決まれば、行動あるのみ。
迎えに来させるのはアレだが、この間、急な呼び出しを喰らったばかりだから其処はギブアンドテイクとでも思っておこう。
それに、徒歩の瀬那と違って彼等は常にバイク移動。
文句の言葉は華麗にスルーしてやるか、と瀬那はあっさりと腹を決めた。
そうして、持っていた鉄パイプを返す、とばかりに適当な場所へ放り投げて踵を返すと、先程から覗き見していたと思しき男が一人、宵闇に紛れた更なる暗がりから姿を現す。
スラリとした細身に、暗がりでも映える逆立った金髪が印象的な若い男だ。
割と早くから喧嘩の最中を見られていた事に気付いていた瀬那は、一度だけちら、と無感動な視線を投げた後にその横を素通りする。
彼は只の傍観者。
喧嘩、とは名ばかりの一方的な暴力沙汰に加わるでも無く、瀬那に加勢するでも無く、只、事の成行きを意外そうに眺めていただけだった。
そりゃそうだろう、と瀬那は思う。
自他共に認める成長不良のチビが、如何にも、と言った素行の悪そうな複数人に囲まれて暗がりへと引き摺り込まれたのだ。
普通ボコられる側の人間は、誰もが瀬那だと思うだろう。
瀬那とて、己が当事者でさえなければきっとそう思うに違いないから。
「…テメー、そっちが素か…」
擦違い様、傍観者の男が声を掛けてくる。
この場に意識がある者と言えば、瀬那と声を掛けた男くらいしか見当たらない。
と、言う事は間違い無く今声を掛けられたのは瀬那だった。
けれども、距離にして約三歩分程開いた後方へ立つ彼に、生憎と瀬那は見覚えが無い。
知り合いでも無いのに、そっちが素なのか、と訊われたような気がするから奇妙な感覚を覚えてしまう。
「誰」
「蛭魔妖一」
「…ヒルマ? 只の通りすがりなら声なんか掛けずにどっか行ってくれませんか」
「通りすがりなんかじゃねぇ」
聞き覚えがあるような無いような男の名前に内心首を傾げながら、それを表へ出さず、抑揚を欠いた声音で退去を促す。
けれど、即座に“否”と返された為、仕方無く瀬那は半身だけ後ろを振り返る。
「じゃあ、何。ああ…アイツ等の仲間とか?」
「違ぇ。ンな雑魚と一緒にすんじゃねーよ」
「そう。なら如何でも良いや…」
「待て」
再び前を向こうとすれば、僅かな距離を一歩で縮められた為、それ以上動くな、と警告を込めた視線で留めた。
“蛭魔妖一”と名乗った男、存外頭は良かったらしい。
あと一歩でも近付いたら攻撃する、との瀬那の警告を即座に理解してその場に踏み止まり、伸ばし掛けた手を引っ込める。
「…何。疲れてるんだから、用があるなら早くしてくれますか」
「随分と物騒な奴だな。矢張りそれが素か、小早川瀬那」
「うん? …銃火器を隠し持ってるような人に言われたくは無いですけど。僕を知ってるって事は、泥門生かな…面倒臭い…」
「そう言う風には見えねーぜ?」
「でも面倒臭いな、って思ってるのは本当ですよ」
ふ、とこれまで頑なに精彩を欠いた蝋人形の如く表情の抜け落ちた顔(かんばせ)へと、瀬那が彩を添えた。
形式上は、非の打ち所の無い完璧な美しい微笑。
けれどその実、その飴色の眸だけは欠片も笑みを象ってはいない。
慈悲深くさえ見える優しげな微笑と相俟って、相対する者へ仄暗い薄ら寒さを覚えさせる。
ひやり、とした得も言われぬ独特な感覚。
悪魔と呼ばれ恐れられる蛭魔とて、それは例外では無かった。
「…何考えてやがる」
「んー。今此処で打ちのめして帰るか、それとも、無かった事にして忘れるか。 …どちらにするか、ちょっと迷ってます」
「は。銃火器を隠し持つと予想する相手に挑むのか? 良い度胸だ。それだけ脚に自信があるようだな?」
「脚、ね…正確無比たる早撃ちのガンマンでも無い限り、何とかなりそうかな、って思っただけですよ。面倒だからやりたくありませんけど…」
先の“自衛”と称した瀬那の攻撃は、特に足技主体で戦った覚えは無い。
一人が手にしていた長物(この場合は鉄パイプ)を奪い取って、上から振り下ろすだけが全てでは無い、と正しい使い方を教えて差し上げたのだ。
故に、脚に自信云々と言う話が出て来る事自体可笑しい。
名前と言い、脚と言い、何処まで自身の事を調べているのか、と瀬那は瞬時に思考を巡らせる。
「まぁ待て。オレは今此処でテメーと潰し合う気は無ぇよ」
「……そう、それは良かったです。もう帰っても?」
「それも待て。オレはテメーに用があんだよ」
「なら早く言って下さい。僕、そんなに気が長い方じゃないんです」
にこにこと可愛らしい笑みを振りまいてはいるが、矢張り、眸だけは異様に冷やかで底光りしていた。
蛭魔は嫌な汗が背を伝う感覚に内心、舌打ちしながらも二の句を継ぐ。
よくぞ此処まで完璧に凶悪な本性を隠していたものだ、と嘯きながら表情を引き締める。
「そのようだな。…んじゃ、単刀直入に言うぜ。オレはテメーのその脚が欲しい」
「無理」
「…チッ…即答すんじゃねーよ」
「無理なものは無理ですから。じゃあ、もう良いですよね。帰ります。勧誘するなら、もっとやる気のある他の人を誘った方が賢明ですよ」
にっこり、とトドメを刺すが如く笑みを深くして、瀬那は蛭魔の誘いを一刀両断にしてみせた。
何処で己の脚を買われたのかは知れないものの、大方、パシリ中か不良から逃げた際にでも見初められたのであろう。
が、生憎と部活動に入るつもりなど瀬那には無い。
今度こそ帰ろう、と金髪の男へ背を向けて一歩歩みを進めれば、またしても蛭魔の声音が追って来る。
「オイ、バラしても良いのか?」
「良くは無いですけど、したければどうぞ? こう言うのって、一人にバレたら芋蔓式にバレるモンだし。良いんじゃないですか? 遅いか、早いかの違いでしょう?」
「脅迫には乗らねーってか。…チッ、ガードの固い奴だな」
「僕なんか脅迫して何になると? 平々凡々十人並み。資産家な家でも無いし、僕自身に然したる価値も有りはしない。つまり、無意味」
詰まらなさそうに背を向けたまま答えれば、背後に居る蛭魔の雰囲気が少し変わった。
「…価値はテメェで決めるモンじゃねーだろ」
「ああ、そうかも知れませんね。ま、僕には如何でも良い事ですけど…あ」
低くなった声音に“地雷でも踏んだか?”と訝しみながら口を開けば、ハーフパンツのポケットに入れっ放しだった携帯が震える。
抜き出して開いてみれば、《ルイ》と送信者の名がコールの表示と共に示されていた。
瀬那は迷わず、コールを受けて会話する事を選ぶ。
「グッドタイミングですよ。今、丁度そっちに連絡しようと思ってました」
『あ? お前から連絡するつもりとは珍しいな。何だ?』
「ゴメンナサイ。暗がりに連れ込まれたから、つい不可抗力で…ヤっちゃいました」
『……あ゛ぁ!? ヤっちまったって、お前…殺してはいねーだろうな?』
「んー如何ですかね…多分、死んでないと思いますよ。只、ちょっとピクリとも動かないかなーなんて…」
『おいおい…マジ勘弁しろよ。何処のヤツラだ?』
「賊学?」
『俺んトコのヤツラじゃねーか!!』
「知りませんって。だって、向こうが勝手に絡んで来たんですもん。不可抗力です。僕、悪くないし?」
『……カッ! 何処に居やがる?』
「“LOOP”の奥の暗がり、かなァ…」
『ああ、丁度近くまで来てる。分かった…すぐ行ってやるよ。其処、動くんじゃねーぞ』
「はい。じゃあ、僕は大人しく待ってますね」
途中怒鳴られたと言う事は矢張り、電話向こうの彼が《賊学》の長で間違い無かったらしい。
けれど怒ってはいないようなので良しとする。
彼との付き合いはそろそろ三年目に差し掛かる所なのだが、瀬那は余り個人のバックヤードを気にしない性質であるから、何処の誰であろうとお構い無し。
不利益を齎さない限りは自分から進んで探るような真似もせず放置する為、それなりに長い付き合いの彼等が何をしているのか知らない事が多々あるのだ。
無論、感覚的に把握している、と言う事はあるけれど。
「さて。用が済んだなら、とっとと帰って下さい。もうじき、此処ら一体…ちょっと騒がしくなりますよ?」
「…チッ。オレは諦めねー。またな、糞チビ…」
短い遣り取りを眺めて概ねの状況を正しく判断したらしい。
蛭魔は随分と口汚く瀬那へ言葉を残すと、あっと言う間に宵闇に紛れるようにして遠ざかって行った。
次があるとは余り思いたくは無いものの、居丈高に去った姿を見る分に油断は出来そうに無いなと悟る。
少し面倒臭い事になったかも、と心中で嘆息を落とし、瀬那は暗い路地裏で一人、連れの到着を地面に直座りして待つ事に。
遠く、幾つかのバイクが噴かすエンジンの騒音が耳に届く頃、瀬那は立ち上がって欠伸を一つ、噛み殺した。
ものっそいやる気が無い黒セナ様と正体を知ってしまった蛭魔氏。
1stコンタクトはこんなもんかな、と。
まぁ何時もの病気です。
黒いセナ様とかスレてるセナ様って格好良くね?って言う、気の迷い。(←)
何処まで行ってもそっち系統が好きな私。
主人公は皆様スレたり、女体化したり、と大変です。(笑)
昨日に引き続き混乱しながら銀雨プレイしていた三津峰です。
やっぱり新たにサーバ構築!とか言う大掛かりな話では
無かったようです。
よく考えれば直前まで何の予告も無かった訳ですから、
当たり前と言えば当たり前でしたね…。(汗)
人間、焦ると碌な考えが回らないようです。
良い教訓になりました。(←)
それで、仕事の納期もちゃちゃっと終わらせたので、数日前から
何と無く黒セナ様を書いてみた訳ですが。
例によって表に出す場所が無いので矢張りブログで晒してみたり。
段々羞恥プレイにも慣れてきました。(笑)
黒セナ様なので、当たり前のように最終回したらしいアイシの
主人公様ですよ。原作とは似ても似つかない異種ですが。
それでも良ければ、覗いてやってみて下さい。
《数日遅れの高校デビュー》 …ちょっと無駄に長めのお話ですよ。
「ねぇ? 身の程知らず、って言葉…知ってる? ああ、もう聞こえちゃいないかな…」
足元に崩折れ、惨めにも地面へと這い蹲って気絶している不良達を踏み付けて無感動に冷えた凍て付く視線を瀬那は向ける。
感情の一切が欠落した大きな飴色の、ガラス玉のように美しく、それでいて恐ろしい冷徹な眼差し。
けれど、血の海に沈む彼等は皆一様に意識を飛ばしている為、それを目にする事は終ぞ無かった。
本当は此処まで傷め付けるつもりは無かったものの、絡んで来たのはこいつ等の方だっけ、と小さく嘯く。
折角“人畜無害”を装ってパシリ人生を送っていたと言うのに、これでは全て台無しである。
しかも、そこそこ返り血を浴びた気がする為、早々家にも帰れやしない。
唯一の救い、と言えば、瀬那に絡んだ愚かな者達が皆一様に《賊学》と呼ばれる他校生であった、と言う事だけだろう。
不良で溢れ返るあの学校ならば、この程度の喧嘩など恐らくは日常茶飯事。
此処まで一方的に痛め付けられる事があるのかは分からないが、そう問題にもならない筈だ。
まだ全てがバレた訳じゃない。
なら、明日からはまた素知らぬ顔でパシられる日常へと戻れば良い。
当面の問題はこの鉄錆び臭い返り血に塗れた私服を如何するか、だけだろう。
「…電話したら来てくれるかな、あの人達…」
ちらり、と脳裏を過ぎったのは白い長ラン姿の男と蛇のようなドレッド頭の黒い男。
どちらも少し前から妙な交流を持つに至った瀬那の夜のオトモダチ。
基本、スタンドプレイ推奨でフラフラと好き勝手に出歩いているので、時折群れても、特に縛られる事無く緩いお付き合いの人達だった。
然したる気兼ねも無く付き合える楽な人種の人間である為、瀬那も適当に連れ立つ事が間々ある者達。
そう言えば、伸した男達を牛耳っている頭はその白い長ランの彼だったかも知れない。
不味いかな?と暫し考えるものの、然し、この程度の事で彼は怒りはするまい、と否定を返す。
因縁を付けて来たのは明らかに地へ沈む彼等であったし、普段瀬那が“人畜無害のパシり屋”をしている事も知っている。
理由を話せば、呆れながらも着替えくらいは貸してくれそうだ。
序でに返り討ちした者達の回収もしておいてくれるだろう。
彼はその辺りの事情には意外と細かく、卒が無いから。
そうと決まれば、行動あるのみ。
迎えに来させるのはアレだが、この間、急な呼び出しを喰らったばかりだから其処はギブアンドテイクとでも思っておこう。
それに、徒歩の瀬那と違って彼等は常にバイク移動。
文句の言葉は華麗にスルーしてやるか、と瀬那はあっさりと腹を決めた。
そうして、持っていた鉄パイプを返す、とばかりに適当な場所へ放り投げて踵を返すと、先程から覗き見していたと思しき男が一人、宵闇に紛れた更なる暗がりから姿を現す。
スラリとした細身に、暗がりでも映える逆立った金髪が印象的な若い男だ。
割と早くから喧嘩の最中を見られていた事に気付いていた瀬那は、一度だけちら、と無感動な視線を投げた後にその横を素通りする。
彼は只の傍観者。
喧嘩、とは名ばかりの一方的な暴力沙汰に加わるでも無く、瀬那に加勢するでも無く、只、事の成行きを意外そうに眺めていただけだった。
そりゃそうだろう、と瀬那は思う。
自他共に認める成長不良のチビが、如何にも、と言った素行の悪そうな複数人に囲まれて暗がりへと引き摺り込まれたのだ。
普通ボコられる側の人間は、誰もが瀬那だと思うだろう。
瀬那とて、己が当事者でさえなければきっとそう思うに違いないから。
「…テメー、そっちが素か…」
擦違い様、傍観者の男が声を掛けてくる。
この場に意識がある者と言えば、瀬那と声を掛けた男くらいしか見当たらない。
と、言う事は間違い無く今声を掛けられたのは瀬那だった。
けれども、距離にして約三歩分程開いた後方へ立つ彼に、生憎と瀬那は見覚えが無い。
知り合いでも無いのに、そっちが素なのか、と訊われたような気がするから奇妙な感覚を覚えてしまう。
「誰」
「蛭魔妖一」
「…ヒルマ? 只の通りすがりなら声なんか掛けずにどっか行ってくれませんか」
「通りすがりなんかじゃねぇ」
聞き覚えがあるような無いような男の名前に内心首を傾げながら、それを表へ出さず、抑揚を欠いた声音で退去を促す。
けれど、即座に“否”と返された為、仕方無く瀬那は半身だけ後ろを振り返る。
「じゃあ、何。ああ…アイツ等の仲間とか?」
「違ぇ。ンな雑魚と一緒にすんじゃねーよ」
「そう。なら如何でも良いや…」
「待て」
再び前を向こうとすれば、僅かな距離を一歩で縮められた為、それ以上動くな、と警告を込めた視線で留めた。
“蛭魔妖一”と名乗った男、存外頭は良かったらしい。
あと一歩でも近付いたら攻撃する、との瀬那の警告を即座に理解してその場に踏み止まり、伸ばし掛けた手を引っ込める。
「…何。疲れてるんだから、用があるなら早くしてくれますか」
「随分と物騒な奴だな。矢張りそれが素か、小早川瀬那」
「うん? …銃火器を隠し持ってるような人に言われたくは無いですけど。僕を知ってるって事は、泥門生かな…面倒臭い…」
「そう言う風には見えねーぜ?」
「でも面倒臭いな、って思ってるのは本当ですよ」
ふ、とこれまで頑なに精彩を欠いた蝋人形の如く表情の抜け落ちた顔(かんばせ)へと、瀬那が彩を添えた。
形式上は、非の打ち所の無い完璧な美しい微笑。
けれどその実、その飴色の眸だけは欠片も笑みを象ってはいない。
慈悲深くさえ見える優しげな微笑と相俟って、相対する者へ仄暗い薄ら寒さを覚えさせる。
ひやり、とした得も言われぬ独特な感覚。
悪魔と呼ばれ恐れられる蛭魔とて、それは例外では無かった。
「…何考えてやがる」
「んー。今此処で打ちのめして帰るか、それとも、無かった事にして忘れるか。 …どちらにするか、ちょっと迷ってます」
「は。銃火器を隠し持つと予想する相手に挑むのか? 良い度胸だ。それだけ脚に自信があるようだな?」
「脚、ね…正確無比たる早撃ちのガンマンでも無い限り、何とかなりそうかな、って思っただけですよ。面倒だからやりたくありませんけど…」
先の“自衛”と称した瀬那の攻撃は、特に足技主体で戦った覚えは無い。
一人が手にしていた長物(この場合は鉄パイプ)を奪い取って、上から振り下ろすだけが全てでは無い、と正しい使い方を教えて差し上げたのだ。
故に、脚に自信云々と言う話が出て来る事自体可笑しい。
名前と言い、脚と言い、何処まで自身の事を調べているのか、と瀬那は瞬時に思考を巡らせる。
「まぁ待て。オレは今此処でテメーと潰し合う気は無ぇよ」
「……そう、それは良かったです。もう帰っても?」
「それも待て。オレはテメーに用があんだよ」
「なら早く言って下さい。僕、そんなに気が長い方じゃないんです」
にこにこと可愛らしい笑みを振りまいてはいるが、矢張り、眸だけは異様に冷やかで底光りしていた。
蛭魔は嫌な汗が背を伝う感覚に内心、舌打ちしながらも二の句を継ぐ。
よくぞ此処まで完璧に凶悪な本性を隠していたものだ、と嘯きながら表情を引き締める。
「そのようだな。…んじゃ、単刀直入に言うぜ。オレはテメーのその脚が欲しい」
「無理」
「…チッ…即答すんじゃねーよ」
「無理なものは無理ですから。じゃあ、もう良いですよね。帰ります。勧誘するなら、もっとやる気のある他の人を誘った方が賢明ですよ」
にっこり、とトドメを刺すが如く笑みを深くして、瀬那は蛭魔の誘いを一刀両断にしてみせた。
何処で己の脚を買われたのかは知れないものの、大方、パシリ中か不良から逃げた際にでも見初められたのであろう。
が、生憎と部活動に入るつもりなど瀬那には無い。
今度こそ帰ろう、と金髪の男へ背を向けて一歩歩みを進めれば、またしても蛭魔の声音が追って来る。
「オイ、バラしても良いのか?」
「良くは無いですけど、したければどうぞ? こう言うのって、一人にバレたら芋蔓式にバレるモンだし。良いんじゃないですか? 遅いか、早いかの違いでしょう?」
「脅迫には乗らねーってか。…チッ、ガードの固い奴だな」
「僕なんか脅迫して何になると? 平々凡々十人並み。資産家な家でも無いし、僕自身に然したる価値も有りはしない。つまり、無意味」
詰まらなさそうに背を向けたまま答えれば、背後に居る蛭魔の雰囲気が少し変わった。
「…価値はテメェで決めるモンじゃねーだろ」
「ああ、そうかも知れませんね。ま、僕には如何でも良い事ですけど…あ」
低くなった声音に“地雷でも踏んだか?”と訝しみながら口を開けば、ハーフパンツのポケットに入れっ放しだった携帯が震える。
抜き出して開いてみれば、《ルイ》と送信者の名がコールの表示と共に示されていた。
瀬那は迷わず、コールを受けて会話する事を選ぶ。
「グッドタイミングですよ。今、丁度そっちに連絡しようと思ってました」
『あ? お前から連絡するつもりとは珍しいな。何だ?』
「ゴメンナサイ。暗がりに連れ込まれたから、つい不可抗力で…ヤっちゃいました」
『……あ゛ぁ!? ヤっちまったって、お前…殺してはいねーだろうな?』
「んー如何ですかね…多分、死んでないと思いますよ。只、ちょっとピクリとも動かないかなーなんて…」
『おいおい…マジ勘弁しろよ。何処のヤツラだ?』
「賊学?」
『俺んトコのヤツラじゃねーか!!』
「知りませんって。だって、向こうが勝手に絡んで来たんですもん。不可抗力です。僕、悪くないし?」
『……カッ! 何処に居やがる?』
「“LOOP”の奥の暗がり、かなァ…」
『ああ、丁度近くまで来てる。分かった…すぐ行ってやるよ。其処、動くんじゃねーぞ』
「はい。じゃあ、僕は大人しく待ってますね」
途中怒鳴られたと言う事は矢張り、電話向こうの彼が《賊学》の長で間違い無かったらしい。
けれど怒ってはいないようなので良しとする。
彼との付き合いはそろそろ三年目に差し掛かる所なのだが、瀬那は余り個人のバックヤードを気にしない性質であるから、何処の誰であろうとお構い無し。
不利益を齎さない限りは自分から進んで探るような真似もせず放置する為、それなりに長い付き合いの彼等が何をしているのか知らない事が多々あるのだ。
無論、感覚的に把握している、と言う事はあるけれど。
「さて。用が済んだなら、とっとと帰って下さい。もうじき、此処ら一体…ちょっと騒がしくなりますよ?」
「…チッ。オレは諦めねー。またな、糞チビ…」
短い遣り取りを眺めて概ねの状況を正しく判断したらしい。
蛭魔は随分と口汚く瀬那へ言葉を残すと、あっと言う間に宵闇に紛れるようにして遠ざかって行った。
次があるとは余り思いたくは無いものの、居丈高に去った姿を見る分に油断は出来そうに無いなと悟る。
少し面倒臭い事になったかも、と心中で嘆息を落とし、瀬那は暗い路地裏で一人、連れの到着を地面に直座りして待つ事に。
遠く、幾つかのバイクが噴かすエンジンの騒音が耳に届く頃、瀬那は立ち上がって欠伸を一つ、噛み殺した。
ものっそいやる気が無い黒セナ様と正体を知ってしまった蛭魔氏。
1stコンタクトはこんなもんかな、と。
まぁ何時もの病気です。
黒いセナ様とかスレてるセナ様って格好良くね?って言う、気の迷い。(←)
何処まで行ってもそっち系統が好きな私。
主人公は皆様スレたり、女体化したり、と大変です。(笑)
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