こんな時間に、こんばんは。
“またやった”感じがとっても強い三津峰です。
何と無く書き始めたら一本出来ちゃったので、このままこそっと
ブログに上げておこうかな、と上げてみるテスト。
今回は、マフィア軸の蒼い兄貴が、珍しく主体かも知れないアレなお話。
勢いで書いて見直しもそこそこに上げておく放置っぷり。
良いんだ。どうせすぐ加筆修正するから、オッケー、問題無し。
マフィアより先に拍手お礼何とかしろよ、って感じですけれど。
それはそれで一応、ぽつぽつ書いてはおりますよ。
只、進みが異様に遅いだけで。>w<;
三つ目の話が進まない…萌、萌を下さい。私にプリーズ…。
「…随分と愉快な事になっているな、“ランサー”?」
ふらりと立ち寄った医療施設が詰め込まれている邸の西棟。
先日の抗争で重軽傷の人間が鮨詰め宜しく、宛がわれた病室へと雑多に放り込まれている訳なのだが。
まさか、選りにも選ってエミヤに宛がった部屋へ“ランサー”が並んで寝ているとは面白過ぎる。
「シロウ!?」
「…マスター?」
「見舞いに来てやったぞ。具合は如何だ?」
クツクツと遠慮無く笑みを漏らしながら、開いていた扉から中へ足を踏み入れ、仲良く並べられた二つの寝台の間に歩を進めた。
見れば見る程、愉快な光景だ。なけなし程度に軽く衝立はあるものの、殆ど役に立ってはいない。
宛ら、ホテルのツイン部屋のような形になってしまっている所が、現状をよりシュールな光景に映し出している。
エミヤの方は特に気にならないのか、無表情で余り気に留めてもいないようだが、“ランサー”は違う。
盛大に貌を顰めて“不愉快”だと言う態度全開。
今にも一触即発な空気ではあったが、怪我人である為、動けないようだ。
左足を固定され、上から吊り上げられている分に、骨折はしていると見て間違いない。
まぁ、エミヤが大して相手にしていない事実も由来しているだろう。
今の所、特に喧嘩らしい喧嘩をしている訳でも無さそうだった。
結構な事だ。メディアも中々、面白い事をする。
粗一方的だが、彼等の不仲を知っていて尚、“ランサー”を敢えてエミヤの病室に移動させるとは…。
“他に開き部屋が無かったもので”
などと、尤もらしい理由を付けてはいたが、アレは間違い無くその事実を愉しんでいた。
美しく引かれたルージュのラインが、隠す事もせずに吊り上げられたからには、仄かな悪意が交じっている。
アレも大概、底意地の悪い女だ。だが、其処が好ましい。
それでこそ【言峰】に仕える医師だと言えよう。
“ランサー”の病室を尋ねた際に、此処だと教えられた時のあの可笑しさと言ったら無かった。
一体どんな貌を拝めるものかと思えば、予想通り、大層嫌そうな貌を見られたから俺的には満足だ。
嗜虐心を大いに擽られて、意図せずとも勝手に口端が笑みの形に撓ってしまう程度には。
「…見舞い、っつーより冷やかしに来たんだろ…?」
「クク。よく分かっているじゃ無いか?」
「ンな喜色満面で言われりゃ誰でも分かる、っつーの…」
嫌そうに“ランサー”は更に貌を顰めて口をへの字へ曲げたが、そんな事をされても俺は面白いだけである。
一瞬、もっと虐めてやろうかとも思ったが、ふと今日の目的は違ったな、と話題の筋を正しに掛かった。
「それで? 見た所、そう大した怪我にも見えないのだが。実際の具合の程は如何なっている?」
「ん? ああ、腹に一発タマ喰らっただけだし。上手い事、隙間に逃げ込んだからな。骨折と打撲で済んでるよ」
「ほう? 崩された瓦礫の下敷きになった割には軽症だな」
「お蔭さんでな」
悪運の強い事だ。
言葉の通り、戦闘中に崩された瓦礫の下敷きになったと言うのに五体満足でピンピンしている。
腕の一つでも欠けていたならば、堂々と正面きって“お礼参り”の一つでもしてやろうかと思ったのだが。
これじゃ遊戯(ゲーム)にもなりはしない。
そう何気無く告げれば、“冗談じゃない”と心底嫌そうな貌をするから笑ってやった。
流石に、遊戯のコマになる事はしても、遊戯のダシにされるのは嫌らしい。
実に“ランサー”らしい答えであろう。
「然し、お前も血の気が多いヤツだな? まさか“バーサーカー”に単身突っ込むとは思いもしなかったぞ?」
「………突っ込みたくて突っ込んだんじゃねぇよ。不可抗力だ」
「折角、先日俺が直々に銃の扱いを教えてやったと言うのに。あんな化け物が相手では、大して役に立たなかっただろう」
「いや、ンな事は無かったぜ」
射撃場で実力の程を試した時に、確実に中てる術を幾つか教えてやったのだが。
それはあくまでも、対人間用のパターンで、だ。
もう人間と呼んで良いのか分からないレベルの“強化人間(ばけもの)”を相手に想定したソレでは無い。
そう思って声を掛けたのだが、当の“ランサー”からは意外にも否定の言葉が返るから首を捻る。
化け物相手に通じるとは思えなかったが、嘆息交じりに“ランサー”がごそごそと枕元から一つの銃を取り出して俺へと放るから、ソレを空で受け取った。
「ん? これは…」
「マジそれ貰っといて良かったわ。ソレが無かったらオレは今頃、挽肉ミンチ」
「フ、ン…? 護身用くらいにはなった訳か」
「護身用なんて生易しい威力じゃ無かったぞ、ソレ…。相変わらず、えげつねぇ武器持ってやがんな、お前さんは?」
受け取った銃は、最近俺が愛用しているフォルムの改造版。
完全に俺の手に馴染むように設計させたモノだから、一般のモノより弾数こそ減るのだが、その分威力を限界まで高められたソレである。
暇潰しの礼を兼ねて何気無く一つ譲った筈だったのだが、如何やらソレが役に立ったらしい。
譲り甲斐のある奴だ。中には、折角譲ってやっても使いこなせない輩が殆どだからな。
上手く使える、と言うのなら、それはそれで結構な事だと俺は思う。
「…で、ホントは何しに来た? シロウの事だから、何か目的がなきゃ態々病室になんざ来ねぇよな?」
軽くメンテナンスがてらざっと銃の状態をチェックして見た所、特に不備も見付からなかった為、そのままソレを“ランサー”へ手渡せば、受け取り様、そんな台詞を吐くから眸を向けた。
赤く鋭い眼光が核心の光を帯びているから、薄く笑みが漏れてしまう。
相も変わらず、聡い事だ。
「フ…まぁ、そうだな。お前達の見舞いも事実だが。…“バーサーカー”とサシで殺りあったのだろう? 感触は?」
「やっぱそっちがメインかよ!…ああ、最悪だ。ありゃマジモンの化け物だったぜ?」
「と言うと?」
嫌そうに貌を盛大に顰めつつも、話す気でいるようなので先を促す。
「シロウの見立て通り、【アインツベルン】の“第二勢力”と見て間違い無ぇよ。図体も然る事ながら、戦闘能力がこれまでとはケタ違いだ」
「ふむ?」
「“狂戦士”の名は伊達じゃ無ぇ。意思らしい意思は無く、痛覚も無い。おまけに極限まで肉体改造されてて、闘争本能だけで動くときてる。もうアレは人間だなんて間違っても言えないだろ。少なくともオレは認めたく無いね。文字通り、非人道的なやり方で生み出されたドーピング塗れの化け物だ」
早口で捲し立てながら、不愉快気に低く“ランサー”が唸る。
余程、気に喰わない事でもあったようだ。
殆ど素の状態で“戦闘狂”であるこの男が、此処まで露骨に殺し合いで不平不満を吐露する事は珍しい。
だが、今はそれよりも気になる台詞が出て来た為、そちらを優先して突き詰めようと話を進めた。
「厄介な人形を造ってくれたものだ…。然しそんな危険なモノを、奴等は如何やって手懐けている?」
「さぁ、そいつは如何だろうな? オレが見る分に、一回限りの使い捨てに見えたぞ。ヤツの頭部を吹っ飛ばしても、貌色一つ変えやしなかったし」
「…なるほど。まだ手懐ける方法までは編み出せていない、と。試作段階の域を越えてはいない訳か…」
“ランサー”の話からすれば、結論はそうなる。
「参考になったか?」
「ああ、単身で得たにしては十分だ。よくやってくれたな?」
「そりゃどーも」
軽く労いの言葉を掛けてやれば、大して嬉しくも無さそうに“ランサー”は肩を竦めた。
本当に単身で得たにしては十二分の働きをしてくれた訳だが、本人はそう思っていない上に、十分な戦闘を愉しめなかった事が災いしてか、実に不機嫌極まりないようである。
と、言っても態々この俺がご機嫌取りなどしてやるつもりは皆無である為、それは放置しておくけれども。
微かな憂い程度、取り除けそうな話題の一つくらいは提供してやっても構わないだろうと口を開く。
「“バーサーカー”が【アインツベルン】の“第二勢力候補”である事は確定した。だが、安心するが良い。今暫くは、実戦での投入も無いだろうさ」
「…何故、そう言い切れる?」
「現段階では未だ“試作品(プロトタイプ)”の域を脱していない。早々大量生産など出来はしないし、そもそも薬物の抵抗値が低ければ狂化する前に死ぬだろう。お前が頭部を吹っ飛ばして壊してしまったから、少なくとも稼動域にまで達しているストックの内の一体は確実に破壊した事になる。しかも、お前が言うようにソレが“使い捨て”であったのなら、アチラ側に実戦への投入可能レベルに至る“被験者(サンプル)”は先ず無い(ゼロ)、と見て良い」
大方、今回のも試運転。
最後には自分達の手で破壊する事を前提に、何処まで実戦で動けるのか、また如何言った行動をするのか、と言った類の実験を兼ねていただろう。
思いがけず、ウチの“ランサー”が壊してしまったようだが、な…。
それもアチラさんの貴重な実戦サンプルデータとして、大切に保管されていると見て良さそうだ。
恐らく、それらを元に完成品を目指すのだろうが。
生憎とそんな大層なモノが一朝一夕で完成するとは、到底思えない。
たった一つの新薬でさえ、完成品を作るのに何十年と掛かるのだ。
狂化した人間を仮に生産可能だとして、それを意のままに操縦する為の調整を加えた完成までの期間。
ざっと見積もっても、俺が死ぬまでに完成する事は先ず有り得まい。
「眼の付け所は良かったんだがな? 実戦への投入は、少なくとも俺達の代では無かろうよ」
維持費だけでも相当掛かるだろうし、大量の薬物漬けになっているだろう狂化された人間の躯がそう長く保つとも思え無い。
内側から蝕まれる侵蝕速度が如何程のものかは知れないが、恐らく、3年も生きられれば良い方か。
「何にしても恐れるに足りんな。“ランサー”が一人で破壊して見せた実績もあるし。研究の成果が悪ければその内、放っておいても研究そのものが頓挫するだろうよ」
「…そんなモンか?」
「ああ。【アインツベルン】も莫迦じゃない。慈善事業じゃあるまいに、研究に幾ら金と時間を注ぎ込んでも構わない、なんて殊勝な事を言うと思うか?」
「絶っ対ぇ、無いな」
「だろう?」
確かにあんな化け物が幾らでも生産可能であれば、酷く魅力的に見えない事も無いけれど。
無闇矢鱈と悪戯に、金と時間だけが浪費され続ける研究など、俺に取ってはゴミ以下だ。
何の価値も無いと言って良い。
まぁ、研究員からすればそれは科学の冒涜だとか、横暴だとか言われるのであろうが。
夢もへったくれも何も無い俺達“支配者階級の人間”には、地に足の着いた確実な実績のみが欲しいのだ。
研究の過程になど興味は無い。
相手(てき)を確実に潰せるだけの戦力。
それさえ短時間で手に入ると言うのであれば、逆に、金の投資など幾らでもする生き物なのだがね。
残念な事にそんな都合の良い輩は何処にも居ないから、俺達はより頑なに“現実主義者(リアリスト)”を気取る破目になるのだ。
何処ぞの研究団体と手を組んだ所で、所詮、金と時間の無駄遣い。
損害リスクばかりが大きい“理想論”など、俺も綺礼も乗りはしないさ。
そんなものを掴まされるくらいなら、自ら戦場を駆けた方が遥かにマシだと俺は言えた。
【アインツベルン】もその内、嫌でもソレに気が付く筈だ。
豪く高い授業料を払わされたのだ、と。
「これだけ分かれば十分だ。今後の対策も練られるし、順次対応も可能。ご苦労だったな、“ランサー”」
「特別ボーナスでも出してくれんのかよ?」
「そうだな。考えておこう。…うん? 如何した、エミヤ?」
もう用は無いな、と踵を返し掛けた所で、不意にそれまで黙っていたエミヤが何やら“ランサー”へ不可思議な視線を向けている事に気付いて声を掛ける。
すぐに視線は外されたが、何やら言いたい事でもありそうだ。
「…いや、何でもない。マスター」
「あん? 何か言いたい事あんなら、言えよ?」
「………」
「言ってみろ、エミヤ」
渋るエミヤに再度促せば、漸く、数瞬躊躇いを混ぜた後に口を開くからそれを聞く。
「…君は莫迦なのだろうか、と疑っていたのだが…如何やら本物の莫迦だったようだな?」
「なっ…ンだと、コラ…」
「…その通りだろう。あのような化け物を相手に単身突っ込むなど、莫迦としか言いようが無い」
「てめ、…上等だ。やっぱ、気にくわねぇ。此処で殺るッ」
余りと言えば余りなエミヤの発言に、今にもブチ切れそうな“ランサー”が吼えるが、残念ながらエミヤの言葉は大して間違ってもいない為、俺は盛大に噴いてしまった。
ああ、駄目だ。こいつら本当に面白い。
見ていて厭きないが、“ランサー”が得物を握り締めた所で、漸く“待った”を掛けてみる。
折角拾った人間を、こんな所で殺される訳にはいかないからな。
「まぁ待て。莫迦なのは事実だろう、“ランサー”。だがエミヤよ、こいつは愛すべき莫迦だ。そこらの雑魚と同一に見る事は許さんぞ?」
「シロウ!?」
「………マスターが、そう言うのなら」
「うむ。良い子だ、エミヤ」
あっさり引き下がったエミヤの従順っぷりに頷きながら、納得がいかない、として呻く“ランサー”を横目に映す。
もっと冷静な奴かと思っていたが、如何やらこの手の人間は余り得手では無かったようだ。
“ランサー”らしい、と言えば、そうなのかも知れないが。
取り敢えず、前線復帰のその瞬間(トキ)までは、当面、得物は極力持たせないようにしよう、と一度返した銃を取り上げた。
まだ弓兵を拾って間もない頃のお話。
槍兵は納得出来ていない状態での相部屋なので、一方的に弓を敵視しているようです。
まぁ、見事に相手にされていませんがね。(笑)
何れ何らかの理由で敵対視もしなくなる訳ですが、それはまた別に機会に書いてみます。
良いポジションにいる筈なのに、扱いが酷いのはアレです。槍の性格故に。(爆笑)
“またやった”感じがとっても強い三津峰です。
何と無く書き始めたら一本出来ちゃったので、このままこそっと
ブログに上げておこうかな、と上げてみるテスト。
今回は、マフィア軸の蒼い兄貴が、珍しく主体かも知れないアレなお話。
勢いで書いて見直しもそこそこに上げておく放置っぷり。
良いんだ。どうせすぐ加筆修正するから、オッケー、問題無し。
マフィアより先に拍手お礼何とかしろよ、って感じですけれど。
それはそれで一応、ぽつぽつ書いてはおりますよ。
只、進みが異様に遅いだけで。>w<;
三つ目の話が進まない…萌、萌を下さい。私にプリーズ…。
「…随分と愉快な事になっているな、“ランサー”?」
ふらりと立ち寄った医療施設が詰め込まれている邸の西棟。
先日の抗争で重軽傷の人間が鮨詰め宜しく、宛がわれた病室へと雑多に放り込まれている訳なのだが。
まさか、選りにも選ってエミヤに宛がった部屋へ“ランサー”が並んで寝ているとは面白過ぎる。
「シロウ!?」
「…マスター?」
「見舞いに来てやったぞ。具合は如何だ?」
クツクツと遠慮無く笑みを漏らしながら、開いていた扉から中へ足を踏み入れ、仲良く並べられた二つの寝台の間に歩を進めた。
見れば見る程、愉快な光景だ。なけなし程度に軽く衝立はあるものの、殆ど役に立ってはいない。
宛ら、ホテルのツイン部屋のような形になってしまっている所が、現状をよりシュールな光景に映し出している。
エミヤの方は特に気にならないのか、無表情で余り気に留めてもいないようだが、“ランサー”は違う。
盛大に貌を顰めて“不愉快”だと言う態度全開。
今にも一触即発な空気ではあったが、怪我人である為、動けないようだ。
左足を固定され、上から吊り上げられている分に、骨折はしていると見て間違いない。
まぁ、エミヤが大して相手にしていない事実も由来しているだろう。
今の所、特に喧嘩らしい喧嘩をしている訳でも無さそうだった。
結構な事だ。メディアも中々、面白い事をする。
粗一方的だが、彼等の不仲を知っていて尚、“ランサー”を敢えてエミヤの病室に移動させるとは…。
“他に開き部屋が無かったもので”
などと、尤もらしい理由を付けてはいたが、アレは間違い無くその事実を愉しんでいた。
美しく引かれたルージュのラインが、隠す事もせずに吊り上げられたからには、仄かな悪意が交じっている。
アレも大概、底意地の悪い女だ。だが、其処が好ましい。
それでこそ【言峰】に仕える医師だと言えよう。
“ランサー”の病室を尋ねた際に、此処だと教えられた時のあの可笑しさと言ったら無かった。
一体どんな貌を拝めるものかと思えば、予想通り、大層嫌そうな貌を見られたから俺的には満足だ。
嗜虐心を大いに擽られて、意図せずとも勝手に口端が笑みの形に撓ってしまう程度には。
「…見舞い、っつーより冷やかしに来たんだろ…?」
「クク。よく分かっているじゃ無いか?」
「ンな喜色満面で言われりゃ誰でも分かる、っつーの…」
嫌そうに“ランサー”は更に貌を顰めて口をへの字へ曲げたが、そんな事をされても俺は面白いだけである。
一瞬、もっと虐めてやろうかとも思ったが、ふと今日の目的は違ったな、と話題の筋を正しに掛かった。
「それで? 見た所、そう大した怪我にも見えないのだが。実際の具合の程は如何なっている?」
「ん? ああ、腹に一発タマ喰らっただけだし。上手い事、隙間に逃げ込んだからな。骨折と打撲で済んでるよ」
「ほう? 崩された瓦礫の下敷きになった割には軽症だな」
「お蔭さんでな」
悪運の強い事だ。
言葉の通り、戦闘中に崩された瓦礫の下敷きになったと言うのに五体満足でピンピンしている。
腕の一つでも欠けていたならば、堂々と正面きって“お礼参り”の一つでもしてやろうかと思ったのだが。
これじゃ遊戯(ゲーム)にもなりはしない。
そう何気無く告げれば、“冗談じゃない”と心底嫌そうな貌をするから笑ってやった。
流石に、遊戯のコマになる事はしても、遊戯のダシにされるのは嫌らしい。
実に“ランサー”らしい答えであろう。
「然し、お前も血の気が多いヤツだな? まさか“バーサーカー”に単身突っ込むとは思いもしなかったぞ?」
「………突っ込みたくて突っ込んだんじゃねぇよ。不可抗力だ」
「折角、先日俺が直々に銃の扱いを教えてやったと言うのに。あんな化け物が相手では、大して役に立たなかっただろう」
「いや、ンな事は無かったぜ」
射撃場で実力の程を試した時に、確実に中てる術を幾つか教えてやったのだが。
それはあくまでも、対人間用のパターンで、だ。
もう人間と呼んで良いのか分からないレベルの“強化人間(ばけもの)”を相手に想定したソレでは無い。
そう思って声を掛けたのだが、当の“ランサー”からは意外にも否定の言葉が返るから首を捻る。
化け物相手に通じるとは思えなかったが、嘆息交じりに“ランサー”がごそごそと枕元から一つの銃を取り出して俺へと放るから、ソレを空で受け取った。
「ん? これは…」
「マジそれ貰っといて良かったわ。ソレが無かったらオレは今頃、挽肉ミンチ」
「フ、ン…? 護身用くらいにはなった訳か」
「護身用なんて生易しい威力じゃ無かったぞ、ソレ…。相変わらず、えげつねぇ武器持ってやがんな、お前さんは?」
受け取った銃は、最近俺が愛用しているフォルムの改造版。
完全に俺の手に馴染むように設計させたモノだから、一般のモノより弾数こそ減るのだが、その分威力を限界まで高められたソレである。
暇潰しの礼を兼ねて何気無く一つ譲った筈だったのだが、如何やらソレが役に立ったらしい。
譲り甲斐のある奴だ。中には、折角譲ってやっても使いこなせない輩が殆どだからな。
上手く使える、と言うのなら、それはそれで結構な事だと俺は思う。
「…で、ホントは何しに来た? シロウの事だから、何か目的がなきゃ態々病室になんざ来ねぇよな?」
軽くメンテナンスがてらざっと銃の状態をチェックして見た所、特に不備も見付からなかった為、そのままソレを“ランサー”へ手渡せば、受け取り様、そんな台詞を吐くから眸を向けた。
赤く鋭い眼光が核心の光を帯びているから、薄く笑みが漏れてしまう。
相も変わらず、聡い事だ。
「フ…まぁ、そうだな。お前達の見舞いも事実だが。…“バーサーカー”とサシで殺りあったのだろう? 感触は?」
「やっぱそっちがメインかよ!…ああ、最悪だ。ありゃマジモンの化け物だったぜ?」
「と言うと?」
嫌そうに貌を盛大に顰めつつも、話す気でいるようなので先を促す。
「シロウの見立て通り、【アインツベルン】の“第二勢力”と見て間違い無ぇよ。図体も然る事ながら、戦闘能力がこれまでとはケタ違いだ」
「ふむ?」
「“狂戦士”の名は伊達じゃ無ぇ。意思らしい意思は無く、痛覚も無い。おまけに極限まで肉体改造されてて、闘争本能だけで動くときてる。もうアレは人間だなんて間違っても言えないだろ。少なくともオレは認めたく無いね。文字通り、非人道的なやり方で生み出されたドーピング塗れの化け物だ」
早口で捲し立てながら、不愉快気に低く“ランサー”が唸る。
余程、気に喰わない事でもあったようだ。
殆ど素の状態で“戦闘狂”であるこの男が、此処まで露骨に殺し合いで不平不満を吐露する事は珍しい。
だが、今はそれよりも気になる台詞が出て来た為、そちらを優先して突き詰めようと話を進めた。
「厄介な人形を造ってくれたものだ…。然しそんな危険なモノを、奴等は如何やって手懐けている?」
「さぁ、そいつは如何だろうな? オレが見る分に、一回限りの使い捨てに見えたぞ。ヤツの頭部を吹っ飛ばしても、貌色一つ変えやしなかったし」
「…なるほど。まだ手懐ける方法までは編み出せていない、と。試作段階の域を越えてはいない訳か…」
“ランサー”の話からすれば、結論はそうなる。
「参考になったか?」
「ああ、単身で得たにしては十分だ。よくやってくれたな?」
「そりゃどーも」
軽く労いの言葉を掛けてやれば、大して嬉しくも無さそうに“ランサー”は肩を竦めた。
本当に単身で得たにしては十二分の働きをしてくれた訳だが、本人はそう思っていない上に、十分な戦闘を愉しめなかった事が災いしてか、実に不機嫌極まりないようである。
と、言っても態々この俺がご機嫌取りなどしてやるつもりは皆無である為、それは放置しておくけれども。
微かな憂い程度、取り除けそうな話題の一つくらいは提供してやっても構わないだろうと口を開く。
「“バーサーカー”が【アインツベルン】の“第二勢力候補”である事は確定した。だが、安心するが良い。今暫くは、実戦での投入も無いだろうさ」
「…何故、そう言い切れる?」
「現段階では未だ“試作品(プロトタイプ)”の域を脱していない。早々大量生産など出来はしないし、そもそも薬物の抵抗値が低ければ狂化する前に死ぬだろう。お前が頭部を吹っ飛ばして壊してしまったから、少なくとも稼動域にまで達しているストックの内の一体は確実に破壊した事になる。しかも、お前が言うようにソレが“使い捨て”であったのなら、アチラ側に実戦への投入可能レベルに至る“被験者(サンプル)”は先ず無い(ゼロ)、と見て良い」
大方、今回のも試運転。
最後には自分達の手で破壊する事を前提に、何処まで実戦で動けるのか、また如何言った行動をするのか、と言った類の実験を兼ねていただろう。
思いがけず、ウチの“ランサー”が壊してしまったようだが、な…。
それもアチラさんの貴重な実戦サンプルデータとして、大切に保管されていると見て良さそうだ。
恐らく、それらを元に完成品を目指すのだろうが。
生憎とそんな大層なモノが一朝一夕で完成するとは、到底思えない。
たった一つの新薬でさえ、完成品を作るのに何十年と掛かるのだ。
狂化した人間を仮に生産可能だとして、それを意のままに操縦する為の調整を加えた完成までの期間。
ざっと見積もっても、俺が死ぬまでに完成する事は先ず有り得まい。
「眼の付け所は良かったんだがな? 実戦への投入は、少なくとも俺達の代では無かろうよ」
維持費だけでも相当掛かるだろうし、大量の薬物漬けになっているだろう狂化された人間の躯がそう長く保つとも思え無い。
内側から蝕まれる侵蝕速度が如何程のものかは知れないが、恐らく、3年も生きられれば良い方か。
「何にしても恐れるに足りんな。“ランサー”が一人で破壊して見せた実績もあるし。研究の成果が悪ければその内、放っておいても研究そのものが頓挫するだろうよ」
「…そんなモンか?」
「ああ。【アインツベルン】も莫迦じゃない。慈善事業じゃあるまいに、研究に幾ら金と時間を注ぎ込んでも構わない、なんて殊勝な事を言うと思うか?」
「絶っ対ぇ、無いな」
「だろう?」
確かにあんな化け物が幾らでも生産可能であれば、酷く魅力的に見えない事も無いけれど。
無闇矢鱈と悪戯に、金と時間だけが浪費され続ける研究など、俺に取ってはゴミ以下だ。
何の価値も無いと言って良い。
まぁ、研究員からすればそれは科学の冒涜だとか、横暴だとか言われるのであろうが。
夢もへったくれも何も無い俺達“支配者階級の人間”には、地に足の着いた確実な実績のみが欲しいのだ。
研究の過程になど興味は無い。
相手(てき)を確実に潰せるだけの戦力。
それさえ短時間で手に入ると言うのであれば、逆に、金の投資など幾らでもする生き物なのだがね。
残念な事にそんな都合の良い輩は何処にも居ないから、俺達はより頑なに“現実主義者(リアリスト)”を気取る破目になるのだ。
何処ぞの研究団体と手を組んだ所で、所詮、金と時間の無駄遣い。
損害リスクばかりが大きい“理想論”など、俺も綺礼も乗りはしないさ。
そんなものを掴まされるくらいなら、自ら戦場を駆けた方が遥かにマシだと俺は言えた。
【アインツベルン】もその内、嫌でもソレに気が付く筈だ。
豪く高い授業料を払わされたのだ、と。
「これだけ分かれば十分だ。今後の対策も練られるし、順次対応も可能。ご苦労だったな、“ランサー”」
「特別ボーナスでも出してくれんのかよ?」
「そうだな。考えておこう。…うん? 如何した、エミヤ?」
もう用は無いな、と踵を返し掛けた所で、不意にそれまで黙っていたエミヤが何やら“ランサー”へ不可思議な視線を向けている事に気付いて声を掛ける。
すぐに視線は外されたが、何やら言いたい事でもありそうだ。
「…いや、何でもない。マスター」
「あん? 何か言いたい事あんなら、言えよ?」
「………」
「言ってみろ、エミヤ」
渋るエミヤに再度促せば、漸く、数瞬躊躇いを混ぜた後に口を開くからそれを聞く。
「…君は莫迦なのだろうか、と疑っていたのだが…如何やら本物の莫迦だったようだな?」
「なっ…ンだと、コラ…」
「…その通りだろう。あのような化け物を相手に単身突っ込むなど、莫迦としか言いようが無い」
「てめ、…上等だ。やっぱ、気にくわねぇ。此処で殺るッ」
余りと言えば余りなエミヤの発言に、今にもブチ切れそうな“ランサー”が吼えるが、残念ながらエミヤの言葉は大して間違ってもいない為、俺は盛大に噴いてしまった。
ああ、駄目だ。こいつら本当に面白い。
見ていて厭きないが、“ランサー”が得物を握り締めた所で、漸く“待った”を掛けてみる。
折角拾った人間を、こんな所で殺される訳にはいかないからな。
「まぁ待て。莫迦なのは事実だろう、“ランサー”。だがエミヤよ、こいつは愛すべき莫迦だ。そこらの雑魚と同一に見る事は許さんぞ?」
「シロウ!?」
「………マスターが、そう言うのなら」
「うむ。良い子だ、エミヤ」
あっさり引き下がったエミヤの従順っぷりに頷きながら、納得がいかない、として呻く“ランサー”を横目に映す。
もっと冷静な奴かと思っていたが、如何やらこの手の人間は余り得手では無かったようだ。
“ランサー”らしい、と言えば、そうなのかも知れないが。
取り敢えず、前線復帰のその瞬間(トキ)までは、当面、得物は極力持たせないようにしよう、と一度返した銃を取り上げた。
まだ弓兵を拾って間もない頃のお話。
槍兵は納得出来ていない状態での相部屋なので、一方的に弓を敵視しているようです。
まぁ、見事に相手にされていませんがね。(笑)
何れ何らかの理由で敵対視もしなくなる訳ですが、それはまた別に機会に書いてみます。
良いポジションにいる筈なのに、扱いが酷いのはアレです。槍の性格故に。(爆笑)
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